…私は、灰色の巨人の肩の上から、ガーラの癇癪を起こしたような怒声を聞いていた。

「そ、私の仕業よ。ガーラ・エルウィンド」

全く。

こいつを召喚するのは骨が折れた。

私がまだ魔女狩りの時代にヨーロッパに住んでいた頃、デッドゲイトの本家で一度だけ見た事がある石の巨人。

実を言うと、これもゴーレムなのだ。

とはいえ、ガーラの召喚したゴーレムとはレベルが違う。

巨大な人形に魔力で魂を吹き込んだゴーレムといっても、その材質などによって様々な種類がある。

骸骨や死体で造り出された『死肉の巨兵(デッド・ゴーレム)』。

ガーラのように泥で造り出した『泥の巨兵(マッド・ゴーレム)』。

そして私が召喚したのは、先代デッドゲイト家当主が造り出し、本家の地下に数百年もの間眠っていた最高クラスの巨兵、『石の巨兵(ストーン・ゴーレム)』。

大きさも力も、ガーラのゴーレムより一回り上の巨人だ。

「き…貴様という奴は…」

ガーラがワナワナと震える。

彼女にとって、このゴーレムは切り札中の切り札だったに違いない。

しかしその切り札でさえも、私はあっさりと超えるものを出した。

しかもガーラお得意の召喚魔法で。

「く…ふふ…はっはっはっはっ…」

ボロボロの姿のまま、紅が笑った。

「成程…これは確かに胸のすく結末だ」