フードの中から、皺だらけの顔が覗く。

私は軽く身構える。

「…そなたは…?…ご老人…そなたが私をここに呼び出したのか?」

そう。

私は先程まで王宮の鍛錬場で鍛錬をしていたのだ。

その証拠にエメラルド色の甲冑を纏い、腰にはカタナを下げている。

それが一瞬、立ち眩みがしたと思ったら、次の瞬間にはこの地下室に立っていたという次第だ。

気づいた先に老婆がいれば、まず物を尋ねるのも当然というものだろう。

「突然貴女のような方を不躾にお呼び立てしてしまい…無礼は十分心得ております」

紫の衣の老婆は恭しく頭を下げた。

「私はガーラ・エルウィンドと申します…この地…この世界で召喚師をしております」

「召喚師?」

聞いた事がある。

魔法や呪術の類で、異世界から魔物や悪霊を呼び出す不思議な存在がいると。

「……」

私は腰のカタナに手をかける。

正直、召喚師などという怪しげな存在にいい印象は持っていない。

僅かに殺気立った私を恐れたのか。

「お、お待ち下さい乙女様!私は乙女様に危害を加えようとここにお呼び立て致した訳ではありませぬ!」

その老婆…ガーラはたじろいだ。