「こんのぉっ!」

一瞬の隙を突いて、修内太が右手に魔力を収束した。

「あの魔女さえ倒せば!!」

一発必中の『矢』の魔術が、ガーラ目掛けて放たれる!!

狙いも申し分なし。

これは命中する…!

私は思わず拳を握った。

だが。

「私が無防備のままここに立っていると思ったかい?」

ガーラに直撃する寸前で、ゴーレムがその矢を片手で遮る!

「このゴーレムの最優先の命令は『私を守る事』…攻撃そっちのけでも確実に私の身を守る。お前達は私を討つ事すらできないままに、無様に逃げ回るしかないんだよ」

そう言って老婆は耳障りな笑い声を上げた。

「くっ…」

私は思わず歯噛みする。

「紅!何か妙案はないのか!?」

思わず八つ当たり気味に傍らの赤い外套を掴むが。

「俺とて万能ではない」

チッと舌打ちしながら、紅は冷静に言った。

「今は回避に徹するしかないな。生きてさえいれば勝機は必ず生まれる」

「……っ」

紅の言う事はもっともだが、そんな消極的な戦い方は性に合わなかった。