見たところ、骸骨どもは動きは緩慢、力の方も然程ではなさそうだ。

どれ、久し振りに紅の旋風の技の冴え、見せ付けてやるとするか…。

戦場に参じようとする俺に。

「待ちなさいよっ」

女が俺の肩をまた掴む。

「何だ。急ぐのではないのか?」

「私が駆り出してあんたに死なれたら、乙女に一生追い回されるでしょ」

女はそう言って。

「      」

何やら不思議な言語を口走った。

「『強化』の魔術…多少の無茶は大丈夫だけど、死ななくなった訳じゃないから。これであんたがガーラに殺されたからって、私のせいじゃないって乙女によく言っておきなさい」

「フ…」

生意気なだけではなく、多少は可愛げもあるか。

「お前、名は?」

「…あんたの名前も二つ名なのよね?」

女は、じと目で俺を見た後。

「四門メグ…本名は教えてやんない」

そっぽを向きながら答えた。