それきり二度と振り返ろうとはせず、女は乙女と少年の戦っている戦場に一人戻ろうとする。

『お前なんぞに二度と頼るか』

その頑ななまでの俺への拒絶に。

「その意気やよし」

俺は女の肩を掴んだ。

「気に入った、助太刀してやろう」

「はあっ!?」

女はまたも素っ頓狂な声を上げた。

…この女の気丈さが気に入った。

このまま頼みの綱としていた俺に助けを断られ、オロオロとするばかりならば、ここで死に果てる様を見届けてやろうと思っていた。

だが、この女はそうではなかった。

俺に頼ろうとした自分を恥じるように、他人に頼る事を捨て、己の力で困難を排除する選択をした。

その心構え。

その諦めぬ精神力。

俺が最も好ましく思う『戦士』の資質だ。

「あの死に損ないどもを蹴散らせばいいのか?」

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!」

女は俺の肩を掴んだ。