修内太と乙女が、スケルトンの群れへと突っ込んでいく。

乙女はまだいい。

あいつ、あんなか弱そうな外見でかなりの修羅場を潜ってきていると見た。

一対多数の戦いにも慣れていそうだ。

スケルトンの群れ程度ならば一時間や二時間は粘ってくれそうだ。

…でも修内太はまだ実戦慣れしていない。

そりゃあ竜との戦いの時に比べれば相手は弱いけど、それでも数が尋常じゃない。

何しろ無限の軍勢だ。

修内太の魔力じゃ長くはもたないだろう。

彼の魔力が底をつく前に、早い所こっちの仕事を済まさなければならない。

「よし」

ちょうど乙女との戦いの時に、右手に氷の刃を創り出している。

私はその刃で、自らの左手首に傷を付けた。

…ボタボタと滴り落ちる血液。

『再生』が始まる前に、手早くしなければならない。

私は滴る血を利用して、屋上の床に六芒星を描いた。

それを取り囲むように神代の文字と記号で術式を書き込み、円で囲む。

更にその円を囲んで術式。

それを再び円で囲む。

左手首の傷が再生する頃には、場には魔方陣が形成されていた。

…チラリと乙女達の方を見る。

派手にスケルトンがバラバラに砕かれているのが見えた。

頑張ってくれている。

「もう少し持ち堪えててよ…」

私は魔方陣の中央に立ち、左手をぎゅっと握り締めた。