同時に。

「むぅっ!」

乙女が唸る。

彼女の周囲を取り囲むように、次々と火柱が上がり始めたのだ。

『炎柱』の魔術。

乙女の背丈よりも高い火柱は完全に彼女を閉じ込める。

そのまま動きを封じるもよし、高熱によって酸欠状態に追い込み、気絶させるもよし。

流石はメグ。

直接傷つけられない分、対人間の戦術を良く心得ている。

しかし。

「これで私を封じたつもりか!」

乙女は手にした剣を大きく横薙ぎに振る!

その鋭い剣閃により。

「な!?」

火柱が断ち斬られた!!

その隙に乙女は炎の囲みから脱出する。

「…閉じ込めたり、動きを重くしたり…小賢しい奴だ」

乙女の表情には怒りの色が見えた。

「正面から私を倒しに来い!魔女とはこのような卑怯な戦い方しか出来ぬのか!?」

「…っ…」

乙女の言葉に、メグは苦々しい表情を見せた。