ズシリと。

重々しい足音を立てて私は歩を進める。

「信じられないわね…『呪縛』の魔術でもまだ動けるの?トロルだって動きを封じられるのに」

驚愕の表情で、四門メグが私を見る。

…苛立った。

小手先の技ばかりで私を翻弄するつもりか。

私は魔女をキッと睨み。

「正々堂々と…戦わないかぁっ!!」

裂帛の気合と共に、その『呪縛』とやらを解いた!

ピキンッ!

鎖が千切れるような音が響く。

「うっ、嘘っ!?」

四門メグがまたも驚きをあらわにする。

「この子…魔術を精神力だけで破った!?」

「…さぁ」

カタナの柄を握り締め、私はゆっくりと歩み寄る。

「勝負する気になったか」

「……」

魔女は神妙な顔をする。

そして。

「なっ!?」

またも脱兎の如く逃げ出した。

「貴様ふざけているのか!?」

「ふざけてないわよ!」

そう言って彼女は右手を天井にかざし。

「       っ!」

私には理解できない、不思議な言語を口走った。

その瞬間。

「!?」

四門メグの掌から放たれた火球が、天井を貫く!

「ついてきなさい!」

彼女は火球が貫く事で出来た大穴から、更に上の階へと跳躍した。