不思議な技だった。

確実に捉えたと思った刃が、四門メグに届く直前で遮られた。

目に見えぬ壁のようなものが、この魔女の身を守っているらしい。

その堅牢さたるや、まるで城壁のようだ。

しかし、破れぬもの、とまでは感じなかった。

ガーラに施してもらった『強化』とやらのお陰か。

全身に力が漲る。

全く…便利なものだな、魔術というものは…!

カタナを振り上げ、渾身の力を込めて。

「たぁぁぁぁあぁあぁっ!!」

私は四門メグの障壁に斬り下ろしを見舞う!

「きゃあっ!」

魔女にしては可愛らしい悲鳴。

その悲鳴に混じり、パリンッという何かが割れるような音。

「くっ…!」

四門メグは素早く私と距離をとろうと後退した。

逃がすものか。

私もすかさず後を追う。

「信じられない!生身の人間の癖に…強化を施されたとはいえ、私の障壁を破るなんて!」

走りながら魔女が叫ぶ。

「そういうお前も足が速いな。何かの術を使っているな!?」

甲冑を纏っていながら、私の体は羽根のように軽く感じられた。

今にも四門メグに追いつき、一撃見舞えるほどに…!