「!」

速い!

銀髪の少女の間合いの詰め方に私は驚愕した。

恐らくは『強化』の魔術を施されているのだろう、その動き。

しかしそれだけでは説明がつかないほどの速さ。

…『強化』とて、基礎の身体能力が高ければ高いほど効果を発揮するのは当然。

ならばこの乙女という少女、類稀な身体能力の持ち主という事か。

鋭い眼光で私を釘付けにせんとばかりに見据え、乙女は上段からの振り下ろしの剣を見舞う!

それを。

「舐めるなぁっ!」

私は障壁に魔力を注ぎ込み、正面から受け止めた。

静まり返った廊下に、建設現場の杭打ち機のような音が何度も響く。

初撃を止められても躊躇する事なく、乙女は私の障壁に剣を乱打している!

「魔女か…面妖な技を使う!」

私と己の空間を隔てる障壁に驚きつつも、その剣腕にはいささかの鈍りも感じられない。

戦乙女…この娘…強い。

少女の身でありながら、その内に秘めているのは超一流の騎士の魂だった。