呪眼。

魔女狩りの時代より生き延びてきた稀代の魔女の一族、デッドゲイト家に伝わる魔性の瞳。

その眼球にはデッドゲイト家が数百年に渡って蓄積してきた膨大な量の魔術が記憶されており、魔力を持つ者ならばその眼球を持っているだけで数百とも数千とも言われる数の魔術を行使する事が出来るようになる。

まさしく魔術品としては一級の品。

魔道を探求する者にとっては喉から手が出るほどに欲する品だ。

かくいう私…老魔女ガーラ・エルウィンドもその一人である。

私とて二百年の時を生きてきた魔女の端くれ。

大抵の魔術は使いこなせる。

そんじょそこらの魔術師ごときに後れを取るような事はない。

だが、デッドゲイトの魔女…四門メグは相手が悪い。

あれ程の魔術の使い手を相手に、正面から戦いを挑めるほどの魔力は持ち合わせていないのだ。

四門メグさえ葬り去る事が出来れば、私は魔道の世界の頂点にすら立てるだろうというのに。

…奴の強さの秘密。

それこそが最初に話した呪眼という訳だ。

あの呪眼さえ奪ってしまえば、私にも勝機はあるというのに。