絆創膏を鼻に貼り、荷物を持ち
直すと朱鳥は学園の門をくぐり、
事務室を目指した。

玄関の少し手前で1人の女が
朱鳥に気づき、軽く頭を下げた。

「あの…今日から下宿させて
もらう予定の進藤と申します」
耳元で心臓の音がするほど、朱鳥
は緊張していた。

「あ、少し待ってて下さいね。
担当を呼んできますから」女は
優しい笑顔を向けた。

朱鳥と年はあまり変わらない、
黒髪の大人っぽい女。

すぐに彼女が担当者であろう、
年のいった女を連れてきた。

「私は竜崎サクラ。一応、学園の
生活の管理をしてるの」竜崎は
そう言い、笑った。

「疲れたでしょ?駅からここ、
結構あるわよね……さ、中で話を
しましょ?」竜崎は朱鳥の荷物
を半分持ち、歩き出した。



「石井優菜と申します。何でも
聞いて下さいね」若い女はお茶
を出しながら、屈託の無い笑顔
で言った。

「少し待ってて下さいね。
うちのバカ、学園長代理が来る
と思うから」竜崎はお茶を飲み、
苦笑した。

若い男が2人と少年が部屋に
現れ、竜崎が振り返った。