「おはよう、お嬢さん」突然、
発せられた声に彼女は人の姿を
捕らえようと躍起になる。

ようやく暗闇に慣れた瞳がそれ
を捕らえた。

テカテカしたオールバックの髪
にキッチリ着込まれたスーツ。
ニヤニヤしながら、彼女のことを
見つめていた。

「私は佐脇。お嬢さん……君の
お母さんとお父さん。それに兄貴
は私が殺した」佐脇は彼女の額
に手を当て、前髪を分けた。

佐脇は思わずニヤついた。
彼女の瞳は左右で色が異なった。

濃い紺色をした右目と赤紫色の
左の目。弱々しく光っていた。

「まぁ…私は実験の経過を見に
来ただけなので」佐脇を言い、
また嫌な笑みを浮かべた。

恐怖から何を言われているのか
分からなかった。

「やはり…少し刺激を与えない
といけないようですね」口元が
緩み、佐脇はナイフをかざした。

鋭く光るナイフが彼女の頬に
当てられ、ゆっくり滑った。
微かな痛みと共に真っ赤な血が
頬を伝って落ちた。

佐脇は笑いながら、彼女の服の
袖を捲り上げ、目当てのものを
見つけて嬉しそうに目を細めた。