異様な静けさの中,物音が部屋
に響いた。そうだ…
この時間なら,兄や父もいる。

それに今日は早めに帰ってくる
と約束した。

これは夢なのだろう…

しかし先程から続く嫌な予感は、
そう簡単に拭い切れておらず、
慎重に2階へと上がった。

いつもと変わらないの階段の
はずが、やけに長く感じた。

身体が震えるのは寒いから?
いや…恐怖もあったんだ。
手すりを掴む手がやけに震えて
いるのが見えた。

最後の一段を上がった瞬間、頭に
強い痛みを感じた。
力無く、自分の身体が床につく
のを感じながら、目を閉じた。


目を開けるのが怖かった。
意識が戻り、暗い部屋の壁に身体
を預けていた彼女。

ここは……?
見覚えのある。兄の部屋だ。

激しい痛みが後頭部を刺激して
いたが、構わず立ち上がろうと
力を入れた。

しかし、激しい痛みが走るだけで
重くなった身体は言うことを
聞こうとしなかった。