ほの暗いカジュアルなバー。

MCシーハマー。

汗をかいたハイネケンのボトルと、いかにも女の子が注文したとわかる、甘ったるそうなカクテル。

机に無造作に置かれた、ライター、メビウス、コイン。

飛び散った灰と水滴と混ざる。

倦怠感。


ザシュッ!!

彼の右手の指先から放たれた矢は、軽い放物線を描きながら、軽やかにダーツボードの中心へ突き刺さった。

何事もなかった様に、机の上にあったボトルを手に取り、中身を一気に流し込む。

『昔からやってたの?』

『飲みついでの遊び程度にな』