「で。何で泣きそうになってたの?」

……。

「忘れてたのにぃぃぃ!」

「…何かごめん。」
言いたく無い。そう思った。
折角あの事を知らない人がいたのに。
また離れていってしまうと思った。


「言いたく無い。言ったら離れてくでしょ。」

「離れないよ。君が信じてと言うなら僕は君を信じるから。」
また涙が溢れそうになって顔を強張らせる。

「…………あのね。」
私はこれまでの事を全部話した。

話した後、なんで話しちゃったんだろ…。話したら離れてくかもしれなかったのに。と小さな後悔をした。

「知ってるよ?」

…は?
「知ってて聞いたんだし。」

「なんで知ってるのに聞いたの?」
もともと信じる気がなかったの?なんで?なんで?なんで?
たくさんのハテナが頭の中を埋め尽くしていく。

「本当の事なのかどうか知りたかったから。
あの話は本当なの?」

「違う。違うよ。私は何もしてない。」

信じてよと最後に付けられなかったのは、鼻の奥がツンとして口を開いても言葉が出てこなかったから。

「信じてほしいの?」

お願い…
「信じて……!」

「わかった。信じるよ。」
今は…今だけは。

「………うっ…ヒック………ヒック。」

「大変だったね。僕は君の味方だよ。」


誰かに信じてるといって欲しかった。
「ぅあああぁぁぁ!」

やっぱりだめだった。
迷のあったかい言葉に、涙を零さずにはいられなかった。

「…なんでっ!なんで私なのよぉ!……青星が好きだった!信じてたのにっ!

なんでぇ…!」
迷にしがみ付いて泣きわめく。

すると迷はそのまま下に座ってしがみつく私をぎゅっと包んだ。

「大丈夫だよ。僕は君を信じてるよ。」

その言葉がどんなに嬉しいか。
独りぼっちだった私の心にどれだけ染み込んでくるか。

嬉しい…。
信じてくれて。
私を見てくれて。



ありがとう