「淳也ー♪」

叶㮈が、呼んでいる




_淳也side_


「…何だ?叶㮈。」

叶㮈が…叶㮈が俺を呼んでいる。


「好きだよ!」
俺が、こいつに応えてやらなければ。


「…おう。俺もだ。」

こいつは壊れてしまう。





少し前まで俺たちは別の女の子と過ごしていた。

それは、それなりに長くそれなりに短い、何とも言えない時間だったけど、すごく充実していた気がする。
もうハッキリ覚えていない。


名前は、湖鳥羽。
聞いたらあいつだと瞬時にわかる、キラキラネームだ。

その名前の意味は
「湖の鳥が羽ばたく」


想像すると、とても神秘的。



きっと、その羽の色は湖鳥羽の好きな水色なんだろう。

その羽が水面に反射し、太陽のオレンジ色と交差する。


俺は、湖鳥羽が好きだった。




「淳也ー。今度の会議どうする?」

「……どうって、いつものままじゃダメなのか?」



「…あ、いや。それでいいよー。変な事聞いてごめん。」


汎が当たり前の事を聞いてきた。

いつも何も聞かずにしてるのに。



俺は今倉庫にいる。