「俺はお前を…信じてたのに、。」
違う。やってない。
叶㮈(かな)の嘘だよ。
「私は…やってない!」
全部!全部!叶㮈の嘘なんだよ!
「五月蝿い!」
「…うっ!」
淳也(じゅんや)にお腹をけられた
痛い
イたい
痛イ
今蹴られた所より心が軋む
嘘つきはどっちよ!私は何もしていない!
届かない声。震える手。
今の私には居場所がないんだ。
「お前には……失望した。お前は、俺を救ってくれると思ってたのに。」
あっそ。私も失望したよ。
と心の中で悪態を吐きながらも、震える手足は情けないほど冷たい。
「…本当に。私は何もやってないってば!」
「…嘘ですね。」
「…っ!?」
今度は彩斗(さいと)の声が頭上から降ってくる。
「こうして証拠も残ってますし、何より叶㮈が泣いているんです。男として、大事な仲間が泣いているのは見過ごせません。」
そう言いながら彩斗がパソコンを開く。
そこに再生されているのは、私が叶㮈をいじめている場面
と言っても合成画像。
(馬鹿みたい、馬鹿みたい。)
なんで信じちゃうのよ。
なんで私は仲間じゃないみたいに言うの。
「…クッ……ははっ…。」
「何、笑ってんだよ!」
だって、だってさ。可笑しいじゃない。
笑えてくるよ。
仲間、ナかま、仲マ、ナカマ。
仲間って何。
そして、
「私って何…。」
誰からも求められない。
私って誰…?
「お前は…」
淳也…貴方は私を何だと思ってた?
「……最低な女だ。」
脳天に雷が落ちたような衝撃が走った。
あは、あはは。そうか、そうか。
「つまみ出せ。」
「…げはっ!」
背中を蹴られて倉庫の外にけり出される。
話してる間にこんなとこまで追い詰められてたのか。
気づかなかったよ。あまりにもショックすぎてさ。
見えたよ。ちゃんと。
もう一生ここに来るなと言わんばかりの軽蔑の眼差しを浴びせる総長、幹部達の後ろで嬉々として笑う。
叶㮈の姿が。