「今日も……また…ですか。」








ー慶応2年(1866年) 8月某日ー









「”今日も”とはどういう事かね?」

「昨日だって私は何人もの人の命を殺めました。…なのに今日も人を斬れというのですか。」

「ではお前は何の為に此処にいるのだ?何の為に今までお前を世に知られる程の者に育ててきたと思っておるのだ?」

「そ、それは……。」

「お前は幕府の犬、水刹龍(すいせつりゅう)であろう?」

「私は織原 燐です。水刹龍などという名称は勝手に世の人々が付けたまでで御座います。」

「良くも考えたものだな。水の様に動き回り、高く一つに縛り上げた髪は龍が翔んだ様に見え、鮮やかな動きで確実に人を抹殺する。実にお前は我々の思い通りの奴だ。」

「…………。」

「お前はその辺の城下に居るような女子とは違うのだ。お前は男として17年の間生きてきた。政府に勝つ為にはお前の力が必要だ。…良いな?」

「………………御意。」