自分の店を持つと言う夢をかなえて、地道に宣伝活動をして、雑誌やテレビの取材にも応じたって言うのに…。

苦労して店を繁盛させたと言うのに…。

今まで耐えてきた苦労が、頑張ってきた努力が、今俺の前から消えようとしている。

それだけはごめんだ。

「――黄瀬さん」

俺は黄瀬母娘に向きあうと、
「この件は、俺たちに任せてください」
と、言った。

「俺の知り合いに探偵をやっているヤツがいます。

そいつに、2人の捜索をお願いします。

時間はかかってしまうと思いますが必ず2人を見つけ出して連れ戻します」

そう言った俺に、
「ありがとうございます…」

黄瀬母娘は頭を下げた。

「ふ、藤本さん…」

黒崎さんが驚いたと言うように俺の名前を呼んだ。