「梢、何してんねんっ」



あ。


この声は、
とてつもなく不機嫌な時に聞く……声だよね?


そう思い振り返ると、的中。


眉間に皺を寄せ、
睨むようにこっちを見ていた。


ヤバイッ!
今の聞かれちゃったかな?


璃久の事だもん。


友達に聞いたりしたら

詮索すんな。

とか言っちゃって絶対怒られるううう。



「彼女さんに、お前のこと聞いてただけだってば。じゃあ、俺は帰るね~」



ナイス谷君!

思わず、口に出しそうになってしまった。


軽く手をあげた谷君に小さな声でお礼を言うと、にっこり微笑んでくれる。



そして、大きな声で



「神楽ー! そんくらいの事でヤキモチ妬いてたら逃げられんぞー」



そう言いながら、
小走りで去る谷君。



「はっ!? 谷!」



ポカーンとしてるだけのあたしの後ろからは璃久の叫び声にも似た大きな声が聞こえた。