え。
あ。
「璃久! ごめんって!」
そう叫びながら、追いかけると
「だから叫ぶなって」
また怒られる。
……こんな日常ですら
楽しく思えるあたしは
相当ヤバイね。
「あ、神楽~?」
璃久の隣をキープするあたしが、
その声に璃久より先に振り向いたのは言うまでもない。
街中でも“りく”と誰かが呼ぶと、
すぐ反応しちゃうし。
ちょっと璃久に似てる人を見かけると、
ハッキリ違うとわかるまで追いかけちゃう。
この癖はいかがなものかと思うんだけど。
「あ? 谷か」
「何、こんなとこで会うとか珍しいじゃん」
谷と呼ばれた人が、
そう言いながらこちらに近付いてきた。
璃久と同じ制服を着てるから、友達なのかな?
まじまじと見つめるあたしに気付いた谷君は、ニッコリと笑い
「あ、こんちは。って神楽の彼女?」
そのまま璃久へと視線を移した。
「……んー、まぁ」
そう、あたしを見つめて言った言葉に、
あたしのテンションはMAX。