部活動終了を知らせるチャイムが鳴った。
「ファーストもう一本!」
「おぉう!!」
早く終わりたかったから、易しいゴロを打ったつもりだったが、思わず力が入ってしまい、強いショートバウンドになってしまった。
ファーストが捕球する前に、次のボールをカゴから出していたが、珍しく必要なくなった。
「ナイファースト!」
珍しく、体にも当てず、ミスをせずにグラブで捕れていた。
しかしホームに向かって投げた送球は、バックネットに当たって終わった。
「もう時間ないから今日はこれで終わる。
明日は鬼沢先輩が来るから覚悟しとけよ!」
「あっしたー!!」
全員が帽子を取って、僕に挨拶をしたのを、僕は視界にも入れずにグランドを出た。
別に、野球部の奴らと仲が良い訳ではないので、部活終わりのダラダラトークに付き合うつもりはない。