僕が、あの人と付き合う…?
想像がつかない。
というか、その役目は僕じゃなくても良いんではないのだろうか。
例えば、洋右だって良いはずだ。
アイツは、人気こそないが、中身も良いし外見もなかなか悪くはない。
なぜ、想いを寄せていない僕に頼む必要があるのか。
ここで気づいた。
・・・・・・・・・・
想いを寄せていない僕だからこそ、できることなのだ。
税所亜樹は、恋人などは望んでいない。
しかし、偽者の恋人を必要としている今、自分に想いを寄せられている相手では困るということだ。
「そういうことか…」
しかも、(自分ではあまり言いたくないが)モテる奴の方が助かるんだ。
あまりにもモテなかったり、嫌われものでは、恋人かどうかを疑われてしまう。
学園の美女と、モテない男子が付き合うのは少女マンガだけということを、彼女は知っているのだ。
確かに僕にも利益はある。
毎日毎日、女子の相手は疲れる。
中学の頃は男子校だっために、扱いにもあまり慣れていないし、相手をするのが面倒だと感じてしまう。