「あ、あの…税所先輩、ですよね?」
恐る恐る訊いてみると、彼女は薄ら笑いでこう言った。
「あら、あなたは昨日告白してきたえっと…冲、洋右?くんのお友だちじゃない。
ずっと植木の影から見ていた」
「うっ…」
バレてたー!!
やっぱり洋右がフラれたのは、僕のせいだったかもしれないな…。
「そんな顔しないで。
私が冲くんをフッたのは別に、あなたのせいじゃないわ。ただ、私には彼氏は欲しくないの」
「………(ほっ)」
「ほっとしてんじゃないわよ」
「……あなたは人の心が読めるんですか」
今のいい、さっきのといい。
「いいえ。あなたが感情が表に出やすいだけよ」
ちょっとカチーンとくる。
「あなたは思ったことを口に出しすぎじゃあないですか?」
「別に良いじゃない。
全く思ってもいない、お世辞でも言えというの?それだけは勘弁してちょうだい、性に合わない」
「……ソーナンデスカー」
知るか、そんなこと。
絶対この人、友達一人もいねーだろ。
遠足の時とか、絶対憐れみの目で見られて、最後に優しい子のグループに入れてもらう子だろ。
「ところであなた、電車通学?自転車通学?それとも、貧乏っぽく徒歩通学?」
「は?」
徒歩通学って、貧乏なのか?
生徒の半数以上は徒歩だと、思うのだが。
「電車、です」
「あら奇遇ね。あたしも電車通学なの」
「…………」
だから、なんだ?