「よーし、授業はじめるぞー」
授業にはギリギリ間に合った。
理奈も、こっちを見てグッと親指を立てて、笑いかけてきた。
私も、グッと親指を立ててドヤ顔。
ギリギリっていっても本当にギリギリだった。
理科室に入って、数秒後に理科の先生が入ってきたから、心臓がバクバクしている。
だから、授業内容も、まともに頭に入ってこなかった。
っつーのは言い訳にならないか・・・あははっ。
「・・・はぁ・・・」
「どうしたの?夏海。具合悪い?」
大きなため息をして、心配したのか理奈が聞いてきた。
「いやぁ、なんか調子悪くてまともに授業聞けなくてさぁ」
「あ~・・・でも大丈夫!」
理奈は、まっさらなノートを見せて言ってきた。
「あたしもおんなじだよっ」
二人は、顔を見合い、笑った。
理奈と一緒にいると、気が軽い。
似た性格で、1学期の始業式のときも、式の最中に2人とも居眠りしていて、
2人そろって先生に怒られた。
その後、「夏海ちゃんも居眠りしてたんだー!」とよってきて、
段々しゃべるようになり、仲良くなった。
あぁ、本当に理奈と友達になれてよかったなぁ。
「おい、そこの2人」
後ろから声がして、2人同時に振り向いた。
「さっき、授業ぼぉーっとしてて、まともにノート取ってないだろ!?」
その声は、京也くんだった。
あんまり話したことないから、結構びっくりしている。
つーか、嫌味ですかい!?
「ほれ。俺の写しなよ」
理奈のほうにノートを投げてきた。
「あ、ありがとう・・・」
「写し終ったら返せよ!」
「あ、うん」
京也くんは、後ろを向いて、手を振った。
なんか・・・私の心が、騒いでるのは、気のせい?