あたし、米原夏海は、小学6年生。
クラス編成してから、もう1週間もたっているが、
いまだになじめていない。
とは言っても、話しかけられたら、返すし、まあボッチではないだろう。
そんな私は、女子の会話についていけない。
いまどきの小学生女子といえば、恋バナ、だろう。
だが、まったく恋というものに興味のなかった夏海は、
そのての話になると、黙り込んでしまう。
――――――あの人に出会う前までは。
「夏海ぃー、何してんのー?」
友達の、理奈が寄ってきた。
何してる?って言われてもなぁ・・・。
実際外見てただけだし。
外には男子がサッカーしてるぐらいで、校庭にいるのはその人たちだけ。
てきとーに返せば、いっか。
「いや、男子はいつも元気だなーって。見てただけだよ」
すると、ニヤニヤしながらこっちを見てきた。
「あらあら、夏海も好きな人できた!?」
「な、なわけないじゃん!」
理奈は、「クスクス」と笑った。
「でもさ、やっぱりかっこいいよねぇ、成海君。つい最近転向してきたばかりなのに、もうなじめちゃってるよ」
サッカーで遊んでいる、男子の一人を、遠い目で見つめながら言った。
「そ、そうだねぇ・・・あはは」
「どうしたの?今日の夏海なんかおかしいよ?大丈夫?」
「えっ、あ、そう?ヘーキ、ヘーキ。」
「ならいいんだけど」
それから理奈と、休み時間が終わるまで、話し続けた。
理奈は、ほぼ一人でいる私を気遣って話しかけてくれる。
ありがたいけど、理奈は結構目立つ存在だから、私まで目立っちゃう。やだな。ホントに。
「おーい、授業始まるぞ」
「あっ、次理科だっけ?準備すんの忘れてた!夏海、一緒にいこ」
「オッケ。いいよ」
理科は先生が変わるから、理科室まで移動しなければいけない。
ここ、6年3組は、理科室にいくまで、一番距離が長いから、忘れ物をしたら、長い廊下を走っていかなければならない。
遅れたり、忘れ物すると、理科担当の先生がめっちゃ怒鳴るから、準備は万全でないといけない。
「筆箱、教科書、ノート・・・・よし、行こ夏海」
「あっ、もう少しで始まっちゃうよ!早く早く!」