「結局、何してたんだよ……」


「……誰にも言わないなら教えてあげてもいいよ」

 偉そうだな。
 でもそんなこと言われると、めちゃくちゃ気になる。

「……分かったよ、言わないから」

 何だか負けた気分だが、好奇心なは逆らえない。

「絶対だよ?」

「はいはい」

 菜々未は少し沈黙してから、言った。




「一人じゃんけん」


「――は?」

 一人? じゃんけん?
 えっと、つまり――

「一人でじゃんけんしてたのか、可哀想に」

「そうだよ!」

 俺は「そんなんじゃない!」とかいう言葉が出てくるかと思っていたので、まさかの肯定に目を見開く。

「え……マジで?」

 夜中に一人でじゃんけんし出す妹……どん引き。

「お、お兄ちゃんが想像してるようなのじゃないからっ!」

「え、違ーの?」

「ちゃんと、目的があるの! とりあえず中入って!」

 菜々未が俺を部屋へ招き入れる。

 いつも部屋に入ると怒られるのに、貴重な体験だ。