咄嗟に後ろにあるレジを見る。

 俺はそこに居た人物に目を見開く。


 唯と――昨日のマッチョ男。


 注文をしているようだ。
 唯の声が店内の雑音に混じり、聞こえてくる。

 唯とあの男はやはり何か関係があったのか――!?


「どうしたんですか?」

 後ろを向いてレジを凝視している俺を不思議に思ったのだろう、彼女が首を傾げて聞いた。

「いや、何で……も!?」

 唯と男がこちらに向かって歩いてきた……やばい!!

 見つかったらやばいと本能的に思考が働いた。

 バッと窓側に顔を向けて、なるべく怪しまれないようにする。

 唯と男が俺の横の通路を通り――

 過ぎていった。


「はあ……」

 ホッと安堵したのも束の間、唯と男は俺達の斜めに位置する席に座った。


 席近い!! 近いって!!


「優斗さん?」

「いやいや何でもない!」

 俺は少し声量を下げて言った。

 唯と男の会話が丸聞こえだ。