「ご、ご注文は何にどうなさいますか?」

 店員が、突然やってきた彼女の存在に動揺しつつも言った。

「コーラのSサイズとチーズバーガーで」

「あっそれと、ストロベリーシェイクのMサイズと、ポテトのLサイズと、スペシャルメガエッグバーガーと、激辛チキンをマスタード付きでお願いしますっ!」


 …………
 ………………ん?

「あっ、かしこまりました。えっとチーズバーガーお一つと、コーラのMと――」


「ご馳走になります!」

 爽やかな笑顔で彼女が言った。

 ……えー。
 っていうかちょっと待て。
 どれだけ頼んだの、この小さな女の子は。
 なんかメガとかLとか聞こえたけど。

「千八百六十円になります」


「高っ!!」

 多分俺の注文のみだったら五百円程なのに……。

 俺は泣く泣く残り僅かな野口英世とさよならした。

 実際ちゃんと諭吉もあったが、昨晩盗られたのだ。