「あっそ」

 特にそれ以上追求せずに、俺は部屋を出ていった。

 そしてやっと自分の部屋に入った。
 すぐベッドに倒れこむ。
 このまま眠ってしまいたい気分になる。

 ――チャララ〜♪

 しかし携帯電話の着信音がそれを許さなかった。

 確か、この音は――唯だ。

「ってマジかよ!」

 やっとのんびりできると思った矢先に……。

 俺は寝転んだまま携帯を取り、通話ボタンを押した。

「――もしもし?」

『もしもし優斗ぉ!?』

 甘ったるい声が携帯を通して聞こえてきて、顔をしかめた。

 ああ、気分が悪い。

「で、何?」

『明日もまたデート、行こ?』

「まだ買い物すんのかよ?」

 今日俺が持っていた紙袋の量は相当な量だ。
 まだ買うって、どんだけ――

『ううんっ、見たい映画があるの』

 どうせ映画代も俺の金だろ。

『明日一時、時計台の下ね。それじゃっ!』

 ――ブツッ

「え、ちょ――」

 既に電話は切れていた。

 ……行くしかねーみたいだ。

 明日はゆっくり出来ると思っていたのに、早速希望を打ち砕かれた。