「お兄ちゃん、どうだった〜?」
家に帰った途端、菜々未がニヤニヤした顔で聞いてきた。
「お前なぁ……」
そんな菜々未に呆れる俺。
「何て返事したの?」
菜々未の目が好奇心に輝いているのを見て、俺は軽くため息をついた。
「なんにも」
「は?」
は? って……。
「イエスもノーも言わなかったの!?」
「まあ」
「も〜、アホ!!」
「いや、何で?」
「保留、みたいなのが乙女にとって一番つらいのよ!!」
菜々未が声を大にしていった。
「そんなもん?」
「全くデリカシーのない兄が……」
「うっ、うるさい! 何だよお前、落ち込んでたんじゃないのかよ!!」
そうだ、と朝のことを思い出す。
「それはさ……だってもう仕方ないじゃん?」
「は? 仕方ないって……」
仮にも人が死んだんだぞ。