「私は塾の帰りですっ……ていうか、ちょっとってレベルじゃないですよ!?」

 確かにちょっとって言うには、痛みがやばいけどな。

「あはは、まあ大丈夫だから。気を付けて帰ってね」

 年下の女の子の前で、あまり情けないことを言うのもあれなので、爽やかに笑いながら早足で立ち去ろうとした。

 が。

 早足にした所為か、ぬかるんだ地面に足を滑らしそうになった。

 ここで滑ってひっくり返ったら、かなり間抜けだぞ俺!

 強くそう思い、踏張って何とかひっくり返る事態は避けられたが――

「痛っ!!」

 踏張ったことにより腹部が激しい痛みに襲われ、結局腹を抑えて膝をついてしまった。

 滅茶苦茶情けないじゃん俺。
 気を付けるのは俺の方じゃん。

 俺はこの時、本気で体を鍛えようと心に誓った。