「――――!?」

 瞬間、言葉を失った。

 ただ、食い入るようにテレビを凝視する。


 桐屋紅子――確か、昨日の話に出てきた――


『――警察では、自殺他殺両方面から捜査を進めていますが、詳しいことは未だ分かっていません』

 アナウンサーが淡々とした口調で語るのを、俺と菜々未はただただ見る。


『では、次のニュースです』

 ところが、あっさりと次のニュースにいった。

 人一人死んでも、このくらいにしか取り上げられない世の中。

 その数十秒のニュースで、人生の道が変わってしまう者も居るというのに。



「私が…………」


 菜々未が、言葉を発した。


「私が殺したの……?」

「――っ!!」


 違う!!

 即座にそう言いたかった。
 けれど……何も言えなかった。


 あまりに物語がうまく出来すぎていて。
 タイミングが良すぎて。


 よりによって、菜々未があんなことした日にこんな――


 プルルルル……