――――家。

「勢い余ってあんなこと言ったけど――」

 私は自分の部屋で、溜め息をついた。

「許さないって言ってもどうしよう……」

 勉強机の椅子に座って、くるくる回りつつ考える。


 いじめる?
 ――いいや、だめだめ。

 幹ちゃんを奪う?
 ――生涯会わない宣言してきたばかりだし。

 紅子ちゃんをこらしめる?
 ――どうやって?


 殴る? 蹴る?
 ――先生とかにチクられて終わりだな。

 もっとひどいこと?
 ――警察行きだな。


 かと言って、何もしないのは癪に障る。
 っていうか怒りが収まらない!

「はぁー……」

 二度目のため息はさっきよりも深かった。

 ソファーに寝転がって、何気なく携帯を開く。


 ふと、思い出した。
 コメントの言葉を――


 ―― 一人じゃんけんでやっつけちゃえ――


「……馬鹿馬鹿しい」


 そんなので人をやっつける、なんて不可能だ。
 それが出来たら皆やってる。


 でも――好奇心が疼く。


「いやいやいや! 何下らないこと考えてんの!」

 ぶんぶんと首を振って、甘い考えを弾き出す。


 ただの遊びだよね、きっと――


「………………」