「何で俺が謝んなきゃいけねーの?」

 幹ちゃんも負けじと反論したので、私の怒りはさらに募る。

「他の女にふらふらいったこと悪いと思わねーのかよ!!」

「別に言う程悪くないじゃん?」

「はあぁ!? ざけんなよ!!」

「あーもう悪かったってのー。すいませんでしたぁぁ!」

 幹ちゃんが嫌味ったらしく言う。
 その顔には皮肉な笑みも浮かんでいる。


「ちっ……人間のクズだな」

「クズとかひどくね!?」

「うっせーよ、もうこれ以上同じ空気吸いたくないから消えろ。そして生涯私の前に姿現すな。現れたら殺す。容赦なく殺す」

 そう言って胸ぐらを掴んでいた手を乱暴に離す。

「誰が近づくか! こ、この暴力女!!」

 幹ちゃんはそんな捨て台詞を吐いて去っていった。

 紅子ちゃんも幹ちゃんのあとに付いていこうとする。
 その後ろ姿に向かって私は吐き捨てた。



「覚えてろよ……許さないから」