その日、紅子ちゃんと話をすることは無かった。

 小椋大樹の言ってたことを少し気にしながらも、クラスの友達と楽しくしゃべっていた。
 紅子ちゃんも、話しかけてくることはなかった。




「ばいばーい」

「じゃあねー!」

 朱羅達とは帰る方向が違うので、校門で別れる。
 後は、家が近いのぞみとしゃべりながら帰っている。

「ねぇ菜々未、ちょっと寄りたいところがあるんだけどいい?」

 のぞみが私に聞いた。

「いいよ、どこ?」

「スーパー。ママに買い物頼まれちゃったの」

「そっか」

 かくして私とのぞみは帰り道を少し逸れて、近所のスーパーへ歩いた。




 このことが、あんな事態を招くなんて……。



「付き合ってくれてありがとう」

 私とのぞみは、両手に買い物袋を持ってスーパーを出た。
 ついつい、たくさんお菓子を買ってしまったのだ。

「ううん! 新発売のお菓子買えたし、逆にラッキー――」

「あ、あれ!」

 私の話を遮って、のぞみが叫んだ。

「何? 何かあっ――」

 のぞみはある一点を見つめていた。

「……?」

 のぞみの視線の先には――