それから一週間経っても二週間経っても、紅子ちゃんに貸したCDが返ってくることはなかった。


 私はついに、紅子ちゃんを問い詰めることにした。

「紅子ちゃん!」

 隣のクラスのドアを勢い良く開けて、大声で呼ぶ。

「紅子ちゃんならトイレに行ったよ?」

 紅子ちゃんの友達、麻音ちゃんが言った。

「そうなんだ、ありがとうっ!」

 お礼を言って、トイレへ直行。

 中から、話し声が聞こえる。
 紅子ちゃんとその友達がしゃべっているようだ。

 早速声をかける。

「紅子ちゃ――」

「――これ欲しかったCDだよね?」


 え?
 それ、私のCDじゃ――

「あっうん、これ欲しかったんだ!」

「じゃあさ、あげるよそれ」

「いいの!?」

 何言ってんの――?

「いいよいいよ、どうせもういらなかったし――」


「はぁ!?」

 私は耐えられなくなり、声を出した。

 紅子ちゃん達が振り向く。

「紅子ちゃん……それ私のCDじゃん!」


「――え、ど、どういうこと?」

 状況が掴めなくて慌てるその友達をよそに、紅子ちゃんは――口角を上げて、にやりと笑みを浮かべた。