「菜々未ちゃんっ!」

 名前を呼ばれ振り向くと、教室のドアの前に紅子ちゃんが居た。
 私はクラスの友達とのおしゃべりを一時中断して、紅子ちゃんの元へ。

 クラスが違うと、一々行ったり来たりしなきゃいけないし、面倒臭い。

「紅子ちゃんっ、何?」



「あのね、昨日借りたCDだけど、家に忘れて来ちゃったのっ」

 紅子ちゃんは申し訳無さそうに頭を下げる。

「あ、別に明日でいいよ!」

「本当?」

「そのくらい、いいってー!」

「ありがとう、菜々未大好き!」

「大袈裟だよー!」

 紅子ちゃんはそう言って自分の教室に戻っていった。
 私も友達の元へ戻る。


「菜々未、紅子ちゃん何だって?」

 クラスの親友、のぞみが私に聞く。

「大したことじゃないよ。CD忘れちゃったから明日ねって言ってたの」

「え、あ、そうなんだ……」

 私は気軽に言ったが、周りの友達は複雑な表情になっていた。

「――どしたの?」

「菜々未、紅子ちゃんにもの貸しちゃったんだ……」

「え、何かダメなの?」

 私は聞く。

 意味分かんない。