部屋の中は電気が付いていて明るかった。

 菜々未は俺をソファーに座らせてから、勉強机の椅子に座り足を組んだ。

 部屋の中に不自然に置かれた全身鏡が、そんな俺と菜々未の姿を写し出す。

「じゃあ話すけど、ひかないでよ?」

「いやもう既にどん引き――」


 菜々未に頭を叩かれた。

「叩くなよ! 俺は割れ物注意だっつーの!」

「失礼なこと言うからじゃん! 割れ物注意とか意味不明!」

「思ったことを言ったまでだ! 繊細で割れやすいから大切に扱えって意味だ!!」

「それが失礼なの! どこが繊細だか!」

「そういうお前こそ失礼なこと言ってんじゃねぇか!」

「は!? 先に言い出したのはお兄ちゃんでしょ!」

「先とか関係ないですからー!」

「その言い方むかつくー!」



 バサッ

「「っ!?」」

 デジャブ。

「――あ、ノートが落ちたみたい」

「何だ……ビックリした」


「……言い合いやめようか」

「だな」

 この流れ、今日で二度目だ。

「疲れた。もう簡単に話すよ」

 菜々未は、話し始めた。