「あ…武藤君はいないよ…。



私1人で食べに来たの」






私がそう言えばふーんとだけ棗君は言った。




それからというものの棗君は黙ったまま、私もなんて言葉をかけたらいいのかわからず無言。





とりあえず早く私は棗君の上から退かないと…





「棗君…


重いでしょ…
退くから手を離して…?」





私が棗君にそう言ってもなんの反応もせず棗君は離してはくれない。






反応しない棗君を見て私は立ち上がろうとする。






「………ゆっちゃん」






ドキッ…





久しぶりに棗君の声で名前を呼ばれる。





「…武藤に惚れてんの……?」





立ち上がった私の腰に腕を回して顔を私の体にくっつけて棗君はそう言った。