ソードウィッチはリビングに戻ると、窓際に立て掛けてある自分の剣を握った。


柄から刃の先まで銀一色のその剣は、ソードウィッチが持ってこそ能力を発揮できる武器であり、ソードウィッチにとって唯一の相棒でもあった。



――貴女は破滅しか生み出せない魔女です――


あの日の、レイウィッチの言葉が脳裏を過る。


落胆し呆れ返った眼差しでこちらを見つめる魔女たちの顔が、今も瞼の裏に張りついて離れない。


ソードウィッチは、人間たちを滅ぼす為に戦うことだけが、魔女同士を繋ぐ絆だと信じてきた。


従わない魔女に対しては、力で捩じ伏せ無理やり言うことを聞かせ、人間と戦わせた。


何故、魔女と人間が争っているかなんて誰も知らなかった。





――人間が居なくなった後、私たちはどうすればいいのかな…。
魔女同士で戦争するのかな…?
最後の一人になるまで…――


遠い昔、自分にえらくなついていた魔女が悲しそうに呟いたのを、ソードウィッチは不意に思い出した。


名前は忘れたが、いつも自分のことより仲間を気遣っている優しい魔女だった。


そんな彼女も戦で仲間を庇って死んだ。


全部殺せ、全部壊せって剣を振るっているうちに色んなものが無くなってしまっていた。
その空白を埋める為にまた血で血を洗う戦いに身を投じる日々…。


気がついたら、ソードウィッチは仲間も絆も失っていて、残っていたのはこの手に握る相棒だけだった。




『また…共に破壊の限りを尽くそうぞ』


ソードウィッチは勢いよく毛布を投げ捨てると、その包帯と下着だけの肢体を窓からの陽光に晒した。