そもそも柊なはずないんだから…

じゃあどうして…


「わかった!!」


トモちゃんは何かに気付いた様で、大きめな声で言った


「ど、どうしたの?何がわかったの?」


あっという間に教室の前に着いた

だがそこでトモちゃんは立ち止まった

私も思わず足を止める


するとトモちゃんは私を見てニヤニヤし出した

何を言い出すのか…


「杏奈はそのカレに興味あるんだよ!」

「…興味?」


「そう、杏奈これはきっかけだよ!」

「きっかけ?」


トモちゃんの勢いは止まらない


「橘くんにとらわれないで、始めるのよ!」

「…何を?」


「恋を!!」

トモちゃんのテンションに対し、それを聞いた私は

「それは…やっぱり無理だと思うけどなぁ」


私がそう言うとトモちゃんは
さっきまでの熱を冷まし、落ち着いた表情で言った


「ごめんね、杏奈。でも…杏奈が人に興味持ってくれたから…私嬉しくて」

本当に、トモちゃんは優しい
いつでも私のことを心配してくれて


「トモちゃん」


「ん?」

私は微笑って言った


「ありがとう。教室入ろう」


トモちゃんも頷いて微笑った