「あの、名前何て言うんですか?」


「え、名前?」


「さっきの流れで言ってくれるかと思ってたんですけど、結局聞いてないなって」


そういえばそうだった…

カレの名前も聞いてないし…



「椿 杏奈」



すると
私の名前を聞いたカレは少し驚いた様な顔をして


「椿…杏奈?」


「はい?」



一瞬、沈黙が起こる




…何でそんなに驚いてるんだろう

私の名前…同じ名前が知り合いにいるとか?





じっとカレの様子を伺っていると

カレはフッと笑った


「へ〜そうか」


…ん?何が
『へ〜そうか』なのよ


「ん〜じゃ、俺そろそろ行きますね」


「え、ちょっと待って!あなたの名前はっ…」


保健室の扉に手を差しかけていたカレが止まり、そして振り返った


再び微笑うカレ





「じゃあね、杏奈ちゃん」




そう言うとすぐに保健室から去って行った