「ねぇ……?もし、鈴使が余命宣告をうけたら、少年と同じ道を歩む?」
うん、と答えたなら私は少年の彼女と同じように鈴使を捜し続けるだろう。
「うーん、どうだろう。
でも、俺だったら気持ちに蓋をしておくだけなんてできない。
日記に書き留めるだけなんて無理だ。
乙葉の幸せを一番に今も考えてるけど、他のやつに笑いかけて、キスもそれ以上をしてる所を思い浮かべたら気が狂いそうになる。
乙葉だけが俺の存在理由だから」
ふわりと優しく私を包み込む彼。
”乙葉だけが俺の存在理由だから”……か。
それが鈴使の口癖。
元々、鈴使は生まれて間もない頃に孤児院の前に捨てられ、今の親に引き取られる前はずっとそこで暮らしていたそう。
鈴使は実の親の名前も顔も何もかも知らないと聞いた。