「......すみません、グラウンド整備いってきます」



さすがのヒロくんも先輩にはかなわないのか、下手なこといってマザコンだと思われるのが嫌なのか、あっさりひいてくれた。

いつき先輩ナイス。


きつく注意するんじゃなくて、お母さんじゃないんだからな、と冗談っぽく言うところがいつき先輩らしい。



「図々しいやつが多くてごめんな。
みんな、マネージャーが優しくて何でもやってくれるから頼っちゃうんだよ。

無理なこと言われたら、はっきり断っていいからね。
言いづらかったら俺にいいな?」


「はい。ありがとうございます、いつき先輩」



やっぱり、いつき先輩は優しくていい先輩だ。

二年生の加藤樹先輩。
炎天下の中練習しているにも関わらず、色が白くていつもニコニコしている菩薩みたいな先輩。


この部活で色が白いのなんて、いつき先輩とにっしーくらい。

他の部員はみんな黒いから、この中にいると私白いと勘違いしそうになるけど、にっしーといつき先輩と並ぶとあまりの自分の黒さにショックを受ける。