「わからないとこどこ」



ペンをクルクル回しながら頭を抱え込んでいると、ぶっきらぼうで低い声が隣から聞こえたので、そちらを見る。



「え?」


「だから、どこが分からないの」



たぶん声を発したのは小野くんだろうに、私の方を一切見ずに靴を磨いているので固まっていると、再び分からないところを聞かれる。

靴磨きながら、やっぱり私の方を見ずに。


もしかして教えてくれる、の?



「え、あ、えっと......、ぜ全部」



......黙りこんじゃった。
さすがに呆れられたかな......。

だって先生に一回教えてもらっただけなんだもん。

一回じゃ覚えられないし、怖くて何回も聞けない。

こういう時、先輩マネージャーがいてくれたらなって思う。 そしたら、もっと気軽に聞けるのに......。