いつき先輩元気ないみたいだったな......。
負けちゃったから、いつき先輩たち三年生は今日で引退だもんね......。


やっぱり今日で引退の三年生はみんな口数少なく、控え室が静かだ。


......小野くんいないけど、どこいっちゃったんだろう。

小声で何かを話しているにっしーとヒロくんを横目に、控え室を見渡してみても、小野くんの姿がない。


外かな?

小野くんを探しながら廊下を歩いていると、窓の外をぼうっと見ている彼を見つけたので、先ほどのいつき先輩と同じように声をかける。


「あの、小野くん?聞いてる?」


そして、お約束のように反応なし。

泣いてはいないみたいだけど、放心状態で窓の外を見ているので、聞こえているのか聞こえてないのか分からない。


「ねぇ、記者の人が呼んでるんだけど......」


もう一度同じことを言う前に、私の方を見もしないで立ち去ろうとする小野くん。


「ちょっと待ってよ」


さすがに返事くらいしてよ、と一言文句を言ってやろうと右手をつかんでひきとめる。