にっしーの腕にしがみつくと、にっしーは少し体を離した。

そして、その真剣な目と視線が合うと、なんだか泣きそうになる。


別に嫌なわけじゃない。ただ、その目からにっしーの気持ちが伝わってくるようで......。


肩よりも少し長い伸ばしかけの髪にそっと触れられたのをきっかけに、私はぎゅっと目をとじた。

これから起こることを予測して。





......。

......あれ?


目をつぶって待っていても、予想していたことは全く起こらない。


そっと目を開けると、にっしーは照れているような驚いてるような、何とも言えない表情でうつむいていた。

きっと今電気をつけたら、真っ赤になっていること間違いなしの表情で。





「布団足りなくない?布団どこ?」

「昨日は押し入れにあった。そこの押し入れ」


にっしーに何か言おうと口を開く前に、戸塚くんと小野くんの声がこちらに近づいてくるのが聞こえて、光の速さで私とにっしーはお互いから離れた。

押し入れが開けられる前に。