「え?そんなこと俺言ったっけ?」

「あれ?違ってた?
たしかにっしーバレンタインのとき......」

「あー!!そうそう!甘いもの大好き!」

「わっ、ばか。声大きいって」


突然大きな声を出したにっしーの口をあわてて、手でふさぐ。

......。

よかった、押し入れをあける気配はないみたい。


「あ.....ごめんね」

「う、うん。これありがとう、カステラ」


にっしーの口をいつまでもふさいでいたことに気づいて、パッとその手をどける。なんか、また気まずくなっちゃったな。

いつになったら、押し入れから出ていけるんだろう。


「うん。さほちゃんにはお土産買ったの?」

「......だからなんでさほちゃん?」


無言の状態が気まずくて、ついふってしまった話題はどうやらにっしーの機嫌を損ねたみたい。

小声だけどイラッとした声を出すにっしーに体がビクッとなってしまった。